The Power of City＊Vol.19 グランドゼロとロックフェラー ☆

～ロックフェラービルのシンボル『世界を支えるアトラス像』～

約1時間のフェリークルーズの後、てくてくと歩きながらグランドゼロへ向かった

グランドゼロは凄く足を運びたかった場所でもなかったけれど、

フェリー乗り場から歩いて行ける距離と言う事と、

やはり鎮魂の意を込めて手を合わせたいと思っていた

『鎮魂』・・

自然崇拝を重んじる日本人は『魂』に対しても

敬意をはらい、目に見えない『御霊（みたま）』に

祈りを捧げ、祭りによって魂を鎮めたりする。

今では『鎮魂』＝『慰霊』と同じ意味として

使われている言葉だが、

元々は生きている人間の魂が不安定に浮遊しないための儀式として

使われていた言葉だ。

なので『たましずめ』とも呼ばれる。

テロ攻撃で崩れ去ったワールドトレードセンタービルの倒壊跡地は

厳重な警戒態勢の下に置かれ、４度もボディーチェックを通過した上で

やっと中に入る事が出来た。

中はメモリアル・ミュージアムとなっており

世界一の高さを誇っていたツインタワーの跡地は

中心部に水が流れ落ちて行く巨大モニュメントへと

変わっていた。

真っ黒な壁面に四方から水が中心のくぼみへと流れて行く・・

まるで滝のような感じ。

何故、この様なモニュメントに設計されたのか

理由は解らないが、

中心部へ流れていく水を見ていると吸い込まれそうな感覚に陥る。

モニュメントの壁面の銅板には

犠牲になっ人々の名前が刻まれていた。

何とも言えない悲しみが全体を包み込んでいる。

全く言葉が出ない。

ただ手を合わせてじっと流れていく水を見ているだけで精一杯だった。

メモリアル・ミュージアムの横には

建設中の新しいワールドトレードセンターが見えている。

真横に立てるのって何だか違和感を感じるのだが・・。

やはり『土地』には色んな思いが止まるのであろうか？

ここにはまだまだ悲しい思いが浮遊しているように感じる。

それか、ここへ訪れている人々の思いが浮遊しているのだろうか？

どちらにしろ、この場所で大惨事が起こった事には変わりがない。

グランド・ゼロへ行った後、真逆の感覚に陥る凄い場所へ行った。

それは『ロックフェラープラザ』

今世紀最大の財閥・富豪ロックフェラー家を象徴するビルは

その凄さゆえに思わずひれ伏してしまう状態・笑

映画やニュースで良く見る風景・・

ビルの下にある世界中の国旗に囲まれたスケートリンクや

世界を支えるアトラス像を見た時、

自分の存在が本当にちっぽけに思えてしょうがなかった

しかし、ビルの外観・内観ともにアールデコの装飾が施されていて

何とも品の良いビルで驚いてしまった・・

品の中に渦巻く色々な野望と成功・・

世界を支えるアトラス像はロックフェラー家そのもののように思えた。

高所恐怖症だが『トップ オブ ザ ロック』と呼ばれる

マンハッタンを一望出来る展望台へ登った。

最上階へ行くと目の前にほとんど同じ高さのエンパイアーステートビルとにらめっこ。

斜めにはタイムズスクエアーの電飾看板がキラキラと目に入る。

（あそこで新年のカウントダウンをするんだ・・）

と思っているとやんちが

『大晦日のタイムズスクエアーは行けたもんじゃないよ！

一度入ったら抜けられないしね・笑』

そりゃ～そーだろうな・・

世界中からカウントダウンを体験しに押し寄せてくるだろうから・・笑

今回、始めてNYに来て、『アメリカ』と言う

ゆるぎない国家権力と経済の中心を改めて目の当たりにしたと思う。

何が起こっていてもここが中心・・

マンハッタンのど真ん中を歩いていて、その言葉が頭を駆け巡る・・

目に映る全てが主張し・・象徴的で・・

ちっぽけな事に悩む事や苦しむ事がバカバカしく思えて来る。

土地が広いとか大きいとかの問題ではない。

全ては街中に溢れている『星条旗』が心の中をかきむしっているだ。

『星条旗の威力』・・

そのビジュアル効果は半端では無い。

next tomorrow・・