2/29/2016

ビタースイートカカオ(bitter sweet Cacao)*Vol.2 『逃げる』事は止められない・・☆

〜新緑が映える修学院離宮〜
人生は一度『逃げる』選択をしてしまうと

誤摩化すか、逃げ続ける事しか出来なくなる。

そして嘘に固められた鎧をまとい、

偽りの人生を送り続けなければならない。

よく『自分らしさ』と言う言葉を耳にすると思うけれど、

人は逃げれば逃げる程

『自分』と言うものも消滅してしまうのだ。 

愛おしい子供達や妻から逃げた堕天使は、

何度も立ち直るチャンスを与えられたのにも関わらず、

『逃げ続ける』事をしてしまったが為に

転落の人生を歩む事となった。

ある意味、自業自得だが

天使の姿を見ていた分、

堕天使の姿は本当に痛々しいかった。

顔も完全に変形し歪んでいた。

心の中の状態は完全に浮かび上がっていた。

その中でも一番、酷かったのは

目の輝きが一切無くなっていた事だった。 

〜目は口ほどにものを言う〜

ことわざの通り、

堕天使の写真を見ると背筋に冷たいものが走った。

そして堕天使の『愛情』もピュアな部分が消滅してしまい

歪んだ愛憎へと変化してしまった。

その理解不能の言動はどれほど雅子さんを苦しめ

悲しい思いをさせた事か・・。

でも彼女は逃げなかった。

今、現実に起こっている全ての問題にまっすぐと向き合って

理解しようと努力していた。

その美しい『強さ』が堕天使には眩し過ぎて

目に見えない邪悪なものへと変化させながら

逃げない彼女を転落させようと必死だった。

そして堕天使の愛憎の矛先はemyにも向けられていた。

雅子さんとLINE電話で話がしたくても

訳の解らない邪魔が入り、

ことごとく阻止される。

電話で喋っていて堕天使の話題になると

バリバリと凄い音を立てながら

電波の状態が最悪になってしまった。

そう・・

邪悪なエネルギーは直ぐに電波と共鳴する。

子供たちもバッドフィールをキャッチしてしまい

状態が不安定になる事も良くあった。

堕天使の威力は絶大だった。

梅雨のある日、

『ちょっとご相談したい事があって・・』

と雅子さんからLINEが届いていたのに

3週間以上、話す事が出来なかった。

そして堕天使の精力は急に弱くなる時があって

そのタイミングでやっとLINE電話で話す事が出来た。
 
『実は・・まだ心は揺れているのですが
家族で日本へ戻ろうかと思っていまして・・
子供たちの将来や何かあった時の事を考えると
 この状態でスリランカに居るのは良くない気がしています。
ただ、本当にその選択が正しいのか自信が持てなくて
自分でセルフトリートメントをしてユラユラする気持ち
を収めながら考えているんですけれどね・・。』

心が揺らいでいる雅子さんの気持ちとは裏腹に

emyはキッパリと言った。

『そうだね。
子供たちの事を考えると
戻って来た方が良いかもね。』

異国の地で4年間、奮闘する彼女の姿を見ていたので

確かにもったいない!

と言えばもったいない気もするけれど

スリランカで培った彼女のゴッドハンドは

帰国した後、日本でも十分に発揮出来ると思っていた。

どちらにしろ彼女の決断は何時も『逃げ』では無いのだ。

ゴールフォートからコロンボへ引っ越しをしたのも

子供たちを守るためでもあった。

そして最終的に帰国へ向けての決断は、

潔い彼女らしくそれほど時間が必要では無かった。

to be next 〜

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