今回、参拝以外に再び訪れたい場所があった。
日本海側に位置する酒田市の『土門拳記念館』だった。
土門拳は昭和を代表するリアリズムを追求した写真家・・。
どちらかと言うとリアルなドキュメンタリー写真よりも
『美』を追求した写真の方が好きなのだが、
土門拳が切り取る世界は、
泥臭いリアルよりもそれを超越した『美』を感じる写真が多い。
厳しい炭坑生活を切り取った『筑豊のこどもたち』や
広島の原爆をリアルに伝えた『ヒロシマ』を始め、
『文楽』などの伝統芸能に至るまでありとあらゆる
『リアル』を追求した。
〜貧しい中でも輝いている子供の魂を切り取る土門の世界〜 |
特に度肝を抜かれるのは『古寺巡礼』シリーズだ。
長年、土門のライフワークとなった『古寺巡礼』。
始めてその作品を目にした時、
あまりの感動に涙が止まらなかった。
美しい・・。
土門が切り取る仏像・神社仏閣の世界は、
細部に渡って魂がぶつかってくる・・。
平等院・鳳凰堂の鳳凰ですら
まるでそれは生き物で、
神が降臨したまさに『神使い』・・。
そして何百枚と撮られ続けた『古寺巡礼』の写真が、
記念館では何時でも見る事が出来る。
しかも大全紙に引き伸ばされた写真の迫力は
実際に行かなければ体感出来ない。
今となっては珍しくなってしまったカメラ
『8×10(エイトバイテン)』で撮影されたフィルムは
何処まで大きく伸ばしてしても画像が鮮明で荒れる事はない。
〜向かって左が『8×10』右が『4×5』〜 |
そのままのフィルムの大きさだ。
8センチ×10センチ・・
とてつもない大きなフィルム・・。
土門拳はその『8×10』で仏像や寺を撮影し続けた。
晩年、脳出血による右半身不随となっても、
アシスタントに助けられながら仏像を撮り続けた巨匠・・。
その魂はしっかりとフィルムの中に納められていて
それは数年経った今でも色あせる事は無い。
最初、emyは映像の仕事に携わっていたけれど、
どうしてもスチール(写真)世界に転向したかった。
当時、勤めていたCM会社の上司に
『なんでわざわざいばらの道に行くの?』
と心配されたけれど、リスクを追う選択をした。
皆が心配するのも仕方が無い、
映像の世界の方がギャランティーも多いので
スチールから逆に映像へ転向する人も多かった。
リスクなんて全く問題無かった。
それよりも何よりも『情熱』を注ぎ込めるものを
見つけられた喜びの方が大きかった。
『情熱』は継続させるのに最低限必要なエッセンス・・。
そしてその『情熱』は土門拳からも学んだ。
〜浄瑠璃寺本堂・吉祥天立像頭部〜 |
その笑みに吸い込まれるように思わず数分、立ち止まってしまった。
涙がほろりと頬を伝う。
そして改めて気付かされる・・
『美』は最高の心の栄養素になると言う事を・・。
to be next ・・
emyさんは夜神楽には興味ないですか?
返信削除もしよければ11月23日きてくださいね~(*^。^*)
Misaさん、
返信削除情報ありがとうございます!
時間がありましたら是非、見てみたいと思います♪