5/10/2014

太陽と月の間と私・・*Vol.1 『みちのく』はまさに『未知の国』☆

〜霧深い幻想的な出羽三山神社の朝〜

言葉が出なかった・・。

憂いをおびた瞳がまっすぐにemyへ向けられている。

早朝の拝殿は深い霧と静寂に包まれている。

一呼吸置いてロウソクに火を灯し、月讀のご神像の前に立てた。

誰もまだこの拝殿に入っていない。

神職ですらまだ何も準備が出来ていない早朝の拝殿・・。

誰もemyの存在など気になっていない。

京都から山形県・羽黒山まで約750キロ。

車で向かうなんてホント無棒な試みだ。

でも相変わらずのポジティブ的な発想で、

仮眠を取りながら行けば何とかなると思っていた。

夜中の北陸道はG.W後半突入の前日とあって

ほとんど車が走っていなかった。

しかし深夜バスを追い越す度に記されている場所が気になった。

『長野←→東京』

『大阪←→新潟』

深夜バスですら新潟止まり・・。

東北地方へ向かうバスにはお目見えしなかった。  

左手には日本海が広がっているけれど、

とーぜんの事ながら闇の世界。

漁船の明かりすら見えない、夜の海・・。

ただひたすら山形県に向けて車を走らす。

途中、3回程サービスエリアに寄って、

眠気覚ましのドリンクを一気に飲み干す。

緊張からか早く到着したい一心なのか

以外と眠気は襲って来ない。

しかしもし万が一、眠気が襲って来ないように

万全を期して 眠気覚ましのドリンクは飲んでおく。

新潟県・糸魚川を通過する頃、まだ時計の針は1時を回った所・・。

到着予定は明け方の4時だった。

この辺りまでは今まで何度も車で走っている。

これはライフワークの『鯉』の写真を撮りに

小千谷(おじや)まで来ているからだ。

新潟県は南北に長く連なっているので

なかなか山形県に入る事が出来ない。

中心街の新潟市を通過した先から未知の世界が広がる。

始めて通る道・・。

でも暗くて全体の空気感が全く読めない。

そして激しい雨が降り始めて来た。

そうだ・・雨雲は西から東へと移っていて

雨雲に向かって走らせているようなもの。

『もしかして羽黒山に着いた時、雨が降っているのかな・・』

なんて若干の心配もよぎったけれど、

今はただただ数年ぶりに訪れる山形への思いで

胸躍っていた。

午前4時ちょっと前、やっと山形県に入った。

ここで一旦、高速道路を降りて一般道を走って行く。

さすがに限界・・。睡魔が襲う。

そして道の駅で仮眠をとる事にした。

もうすぐ到着と思うと安堵感からか疲れがどっと出て来た。

2時間くらいはどっぷり寝ていただろうか、

目が冷めると霧の先に海が見えた。

到着した時は全く解らなかったけれど、

その道の駅は海沿えの場所にあった。

雨は止んで厚い雲に覆われた海の先に

かすかに太陽の光が覗いている。

   
 時計を見ると6時過ぎ・・。

今まで羽黒山へは内陸から行く事が多かったので

今回始めて海岸線を通り、鶴岡から羽黒山へ向かう。

それにしても何てワイルドな風景なんだろう!

三重県・二見興玉神社で有名な『夫婦岩』の数倍デカイ岩たちが

至る所に縄が張られて奉られている。

まさにビッグサイズの『夫婦岩』!

凄い・・さすが東北!

こんな風景、西では滅多にお目にかかる事が出来ない。 

それらは荒波によって長い年月削られて来たであろう岩の年輪が、

神々しくもあり、またその岩の下には小さな祠もあって

何か伝説が書かれているようだった。

立ち止まって写真を撮りたい衝動にかられたけれど、

その岩たちを横目で見ながら羽黒山へ向かった。

久しぶりにスケールの大きい大海原を見て一気に眠気が飛んでしまい、

『みちのく』の魅力が心に突き刺さる・・。

東北地方は平安時代、

貴族たちの間ではよほどの事が無い限り、

一生行けないような遠い国 とされていて、

名称の『みちのく』も朝廷から遠く離れた国・・

『道奥』から来ている。

現代ではemyのように千年の都からぴゅっと

東北まで簡単に足を運ぶ事が出来るけれど、

先人たちにとって『みちのく』

どれほど神秘的な国だったのだろうか?

しかし、簡単に行けるようになった今でも

『みちのく』には独特な空気が流れていて

何とも言えない魅力が漂っている。 

今回、出羽三山神社へ数年ぶりに行きたくなったのも

特別な理由は無かった。

何となくまた行きたくなったと言う感じだろうか?

何も考えずに月讀像の前に座ってしまったので

最初、言葉が出なかったのかもしれない・・。 

to be next・・

 

 
 

  



 



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